VOL.09

自然が手助け、輝く米ナス。

高知県安芸市黒鳥

かわしま かずよし 川島 一義  さん

安芸市といえば、全国一のナス産地。ジャンボな米ナスの栽培でも、県内一の規模です。米ナス農家の川島一義さんは、高知県が進めるエコシステム栽培(環境保存型減農薬栽培)に取り組んでいて、ハウスの中は、虫や小動物が元気に暮らす世界。おいしさを知ってもらうためのPR活動にも積極的です。

田植えとともに出荷のピークへ


黒光りする米ナスは、見とれてしまう美しさ。緑のヘタが鮮やかなコントラスト、そして、手に持つと、ずっしりとした手応えです。冬春(ふゆはる)米ナスの出荷ピークは4月・5月。4月はじめ、田植えが済んだばかりの田んぼを見ながら、見学させていただくハウスへ到着しました。

川島さんは安芸市で米ナスを作って25年のベテラン農家。冬場は何ヶ月も夜の暖房を入れて育ててきた米ナスが、うれしい収穫を迎えています。形はまっすぐで、全体が張って重く、色つやがあり、キズのないものが良品だそう。ナスの95%は水分。主な出荷先は県外なのですが、高知県園芸連や市場を通じて3日ほどで店頭に並びます。


作ったら、食べてもらう努力をしないと!


川島さんは安芸市消費拡大委員会の会長さんでもあり、地元小中学校へ環境保全型農業の出前授業をしたり、ハウスでの収穫体験などを受け入れています。

知ってもらうには食べてもらうのが一番だと、高知はもちろん、関東をはじめ、全国の量販店へもメンバーたちと出かけ、消費宣伝をしています。米ナスのタタキ風やお好み焼きなど、「素材が生まれ変わったようにおいしくなる」レシピとともに試食を元気にアピール。普通ナスより、果肉が格段にしっかりしているのが持ち味です。


米ナスと大えびのスパイス揚げ

安芸の米ナスや川島さんたちとの出会いで、地元の生産者と付き合いが広まって行った華珍園。スタッフによると、「煮ても焼いても崩れにくいですね。少し揚げて煮込んだら、とろっとした特有の食感が出て。あれがいい」

益虫が害虫を食べ、やがて生態系に

エコシステム栽培の手法として、川島さんは天敵昆虫や防虫ネット、マルハナバチによる受粉、防蛾灯などを選んでいます。さっそく、このハウスの天敵昆虫で一番多い、タバコカスミカメを見つけてもらいました。葉の色にそっくり。葉陰などに待機していて、コナジラミなどの害虫が来ると、退治します。

川島さんが天敵栽培に切り替えた10数年前にはタバコカスミカメは発見されておらず、苦労が多かったようですが、今ではこの虫のおかげで、害虫をおさえやすくなったとか。天敵は9月中旬に入れたものが、今では数百倍にも繁殖しています。



おや、カエルがいました!ハウスには天敵昆虫だけでなく、昆虫を食べるカエルや、カエルを食べるヘビまで入ってきて、生態系ができると聞きました。

内も外も、環境を守りながら


ハウスの中を、花粉をくっつけた大きなハチが、ブンブン飛び回っています。ここではマルハナバチに受粉をしてもらっているのです。天敵昆虫にしろ、虫がいっぱいいるので、防虫ネットの管理は厳重にしています。入り口は二重で、網戸は目が細かいタイプ。側面はネットのつなぎ目をずらして、昆虫が抜けないように。中からも外からも、昆虫の出入りを防ぎます。このマルハナバチも外では、日本の環境にいない外来生物なのです。


ハウスに吊ってある黄色い照明は、主に夏〜秋の気温の高い時に効果の高い防蛾灯。夜行性の害虫に昼だと勘違いさせて、動きをにぶらせるというもの。それでも増えた害虫は天敵に捕ってもらえるし、どうしてもダメならば、軽い農薬を2~3ヶ月に1度、使います。

真夏の熱を利用して、土壌殺菌・消毒

お父さんの代から40年以上、ナスの連作をしてきました。今は同じ場所で毎年作ります。環境に配慮した減農薬栽培は、元気な土づくりが基本。収穫が終わった7月上旬には、ハウスで「蒸し込み」をします。いったん病気が出たら大変なので、土の殺菌をするのです。トラクターをかけてハウスを密封すると、ハウスの温度が70℃にもなり、地表でも55~60℃に。強力な南国の太陽熱で「サウナ処理」ができるというわけです。約20日間を要します。

最後に、うれしいニュース。去年、安芸で10数人が新規就農しました。県と市が合同で新規就農者受け入れを始めたのです。川島さんも先輩農家として、天敵栽培などの技術を教えました。研修の成果が楽しみなところです。

問い合わせ先
〒784-8503 高知県安芸市幸町1-16
JA土佐あき
TEL:0887-34-1515


JA土佐あき 園芸課 大谷さんと記念撮影。