• 「穫」生産者のご紹介

竹林の子どもたち、タケノコ。

春を呼ぶタケノコ狩りへ


タケノコを掘るクワは細長く、昔は地域の鍛冶屋さんが作っていたそうです。

4月上旬、南国市の山あいにある白木谷地区へタケノコ狩りにやってきました。ここはタケノコや四方竹、梅といった山の幸で知られています。今年のタケノコ出荷は3月中旬から。竹林へ案内してくださった中司さんは、白木谷の区長さんを務める世話役さんで、地区の仲間とのグループ活動も行っています。放置竹林を預かって手入れし、竹やタケノコを生産する活動です。ちなみに華珍園向けの乾燥タケノコも3年前から納めていただき、メンマの材料となっています。

斜面を見上げると、手入れのゆきとどいた竹林が、古い石垣の上に続いています。中司さんたちが、専用のクワを皆に渡してくれました。お手本を見せてもらって、いよいよ自分たちで掘り始めます!

どこから攻めていく?

タケノコは1本1本、生えるクセが違います。クワを当てる方向は、先が少し曲がっている方向を見定めて裏側に回り、前方から直角に。逆だときれいに掘れず、折れてしまいます。まわりの土を少しずつ除いていき、何回かクワを当てて、持ち上げるように。難しい角度でも上手に掘り上げる中司さんいわく、「黒い土より黄色い赤土のタケノコがいいんです。でも白木谷は黒いけど不思議においしい」。


「今ごろのは大きくなるのに役がかかっている。去年の9月ごろ、握り拳大になって、それから冬を越して、やっと出てくるものだから」。その恵みをいただくのが、はしりのタケノコです。


地表にはまだほとんど出ていません。「最初、もこっと地割れがするんです。そこを掘ったら必ずおるき、探してみて」と美空さん。

ぐんぐん伸びて、季節と競争


タケノコの根元まわりに、赤い根っこの芽がたくさん出ています。これは地下茎とは違って、ヒゲ状になって、竹が地表に立つのを支える根です。最盛期の収穫後半には、日に10cmも伸びるタケノコ。土が肥えていて、竹が大きければ、タケノコも大きくなります。ここで栽培しているのはモウソウダケで、竹林は5~6年生です。

どんどん伸び出すと、掘るのが間に合わなくなって、雨の日も収穫しますが、最盛期には地表へ10cmほど出てきます。4月下旬まで掘った後は、タケノコを伸ばして、丈が2~3mになったら、5月中旬までは穂先に近い柔らかい部分を食べます。どれを竹に育てるかも大事で、間隔や場所を見きわめ、大きいのを残すそうです。


根元にタケノコ時代の皮が残っている竹は、去年生えたもの。


うもれっ子が、おいしい


穂先が黄色くて、先まで形が張っているのが、おいしいタケノコ

美空さんが、「うもれっ子」を教えてくれました。陽に当たってない、やわらかいタケノコのことです。穂先が黄色いので、黄い子とも呼ぶ、上質なもの。秘蔵っ子のようなイメージでしょうか。対して黒子は穂が陽に当たって緑色をしたもので、皮も少し黒っぽくなります。

華珍園では2011年に「土佐のおきゃく」でも白木谷タケノコを使わせていただきました。

タケノコは大きい鍋で煮付けて、沸かし返したら「味がしゅんで」おいしいもの。「朝どれのをゆでて切って、醤油で食べるのもいいね。台湾では丸ごと焼いて食べるよね」。「煮たのを翌日天ぷらにしたら、よくしゅんで、意外なおいしさになる」。シェフたちのタケノコ談義が始まっています。


(左)タケノコとアサリのスープ煮 (右)タケノコと豚肉の香り醤油煮込み

味を伝え、未来へ残したい


おみやげに、掘ったタケノコと、手づくりのタケノコ寿司をいただきました。甘くて味がしゅんでいて、やさしい味です。


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タケノコの産地、「白木谷」はここ華珍園から車で約20分

竹林は無農薬栽培で、肥料を少し入れます。竹の間隔がほどよければ草が生えず、除草剤が要りません。掘ってみればわかりますが、地下には竹の細かい根っこが、びっしりと張り巡らされています。光合成をするので、葉っぱも大事。いい葉がなければ栄養を蓄えられず、タケノコは育ちません。

「先人が守ってきた白木谷の竹林を我々の代で絶やすのはもったいない。味を継承して知ってもらいたい。」と中司さん。グループで年に1~2回、炭を焼いていますが、切り出して竹炭などにするのも重労働です。昔は竹をすべて使い切りました。葉をホウキに、幹を竹細工に加工し、最後は香川の坂出へ送って、塩田で塩水を蒸散させるのに使っていたということです。

【問い合わせ先】
南国市農林水産課
〒783-8501 南国市大そね甲2301
Tel 088-863-2111



南国市 農林水産課
田村里香さんは産地づくりのため、竹林の活用や過疎対策などに尽力されています。