• 「穫」生産者のご紹介

こだわりの、キレイなチンゲン菜づくり。

そんな風景の中で、高知ではあまり栽培されていないチンゲン菜を無農薬でハウス栽培している「武政さん夫妻」に、こだわりのチンゲン菜づくりについてお話をお聞きしました。


武政さんのチンゲン菜は、高知県園芸連、大阪の生協、地元JAが運営する「はちきんの店」や高知の飲食店などへ、年間を通じて出荷されています。当店(華珍園)にも届けられ、食材として日常的に使用しています。

脱サラ、チンゲン菜農家へ

子どもたちと、家族らしい日々を送りたい。

今から10数年ほど前、私は高知市にある企業に就職していました。佐川町からのマイカー通勤は、通勤時間が長く、また残業や出張も多かったため、子どもたちと家族らしい日常を過ごす事が出来ていませんでした。さらに、転勤による単身赴任などで、家族で職場の近くへ引越しを検討したりと、様々な事情が重なって、将来についていろいろと悩んでいました。


※レンタルハウス整備事業とは農協等が、農家向けの園芸用レンタルハウスを建てる場合に、ハウスの建設費用に対して県と市町村が補助をおこなうことで、農家の初期投資を少なくし、安心して施設園芸に取り組めるようにするための事業です。


そんなある日、高知県発行の冊子に掲載されていた『レンタルハウス整備事業(※)』という記事を見つけました。そこには、県や市町村が「新規就農者を助成する」といった事業の案内が書かれており、内容を読んでいるうちに、「ひょっとして自分にもできるのかなぁ?!」と思い、高知県の新規就農相談センターに相談してみました。その後、県や役場の方の協力で、助成内容や事業計画など検討した結果、「これならやれそうだ!」という考えに至り、37歳にして脱サラで農業を始める事になりました。

チンゲン菜を選んだ訳

農家を始めるのは良いが、さて何を作ろうか。


地元、佐川町ではイチゴやニラの栽培が盛んです。しかし、イチゴは栽培が難しいのでやめて、近くに生産者が多いニラなら、何かあっても教えてくれる人がいるだろうと考え、ニラを作ることにしました。
そして、高知県立農業大学校研修課が四万十町窪川で実施していた「アグリスクール(※)」へ通い始めることになりました。

私が通っていたちょうどその頃、アグリスクールがある高知県立農業大学校には、無農薬・減農薬栽培を試験する県の施設が併設されおり、チンゲン菜が栽培されていました。それを見たとき「県も取り組んでいるし、面白そうだ!チンゲン菜を作りたい!」」と興味がわき、相談してみたのですが、反対されました。というのも、県内ではチンゲン菜だけを栽培する農家はなく、 “県が取り組んでいる”と言っても、試験所は気温や日照状態、放水から空調の換気扇まで、全ての管理が自動化されていて、そんな栽培方法を実践できるかのか?という疑問があったようです。
 しかし、諦めきれない私は、自分なりにその栽培方法を調べようと思い、チンゲン菜の栽培が盛んだった静岡の農家まで訪ねて行きました。そこでは多くの農家があたり前のようにチンゲン菜を栽培しており、自分のチャレンジしようと思っていることが、特別な事ではないように思えたのです。高知へ戻り、改めて自分の考えを話しましたが、やはり周囲の反対は変わらずありました。しかし、とにかく自分を信じて実行してみることにしたのです。
※アグリスクールは高知県立農業大学校研修課が、農業を始めたい人や体験したい人などに対して、農業を学んでもらおう!という、農業体験研修施設です。

無農薬栽培にこだわって奮闘する日々

頼れる人がいない。


無農薬栽培を始めてみると、やはり苦労の連続でした。野菜の病気や品種の違い、いろいろな種類の害虫など、あらゆる問題にぶつかりました。チンゲン菜でなくても農業経験のない私が転職すること自体、最初から容易でないのはわかっていましたが、教えを請う人が周りに居ないということは、想像以上につらい経験でした。しかし、対策方法は自分の好きなように試すことができたので、“大変だなぁ”と思う反面、ここまで続けてこれたのは、その点を楽しみながら自由にやれたことが理由にあると思います。

たくさんのキレイなチンゲン菜づくりを目指す。


私たちのチンゲン菜は、実際に手にしていただけると、お気づきになられると思いますが、病気も無く、全く虫に食われていないキレイなチンゲン菜です。品種の選定から病気の対策・害虫駆除など、一つ一つ手間をかけることで、このようなチンゲン菜が収穫できます。昔は虫に食われる割合が多かったのですが、苦労の甲斐あって今では虫がほとんど居なくなり、作業的にも天国と地獄ほどの違いがあります。その成功体験の感動や喜びを分かち合えるのは、苦労をともにしてきた私と妻だけです。

大量に収穫している他の地域では、根元を包丁のような刃物で切り取りますが、高知のチンゲン菜は小ぶりなので、ハサミを使って収穫します。私の場合は畑で少し根元を残すように切り取って、作業場で再び根元をナイフで切り落としてから袋へ詰めます。このように二手間かける方法は私のこだわりで、土が切り口に付くことを避け、できるだけ清潔な状態で出荷できるように努めているためです。

農家の家庭を支えてきた奥さま、由美さんのお話

チンゲン菜、一つ一つに顔がある



主人から最初に「農業をする」という話を聞いたとき、結婚してから、いや主人と付き合っているときから一度も農業が好きだなんて聞いたことがなかったので、最初は冗談だと思いました。でも考えてみたら、主人は私より花の名前には詳しかったし、植物を育てることも好きだったことなど、思いあたる節はありました。主人の話しぶりはとても真剣で、本気なんだとわかりました。
当時、子どもたちは、長女が小学1年生、下の長男が3才とまだ幼く、また、主人には単身赴任の話があったので、農業だとずっと自宅にいられるので、子育てを一緒にできると思い同意しました。主人は、家庭ではそんなに細かい性格ではないのですが、チンゲン菜づくりに限っては、見た目のキレイさや、味に関わる肥料の細やかな調整など、とてもこだわりを持って取り組んでいます。子どもたちはそんな主人を見て、楽しそうだと農業に興味を持っているようです。
ハウスでの収穫は、虫などが居ないかチェックをしながら収穫します。次に作業場で、外側の不要な葉を落とし、袋詰めをする際も虫が居ないか、再度いろんな角度からチェックをします。(頻繁ではありあせんが、死角に入りこんでいる虫など、見つけることが難しい場合もあります)その後、できるだけ同じ重さになるように分け、袋詰めをし、出荷準備完成です。
土を耕してうねをつくり、水をあげることは、主人の仕事です。以前に手助けになると思い私がやってみたこともありますが、かえって面倒をかけてしまいました。主人に聞くと、この作業は要領があるらしく、それ以来、主人に任せるようにしています。
その代わり、お手製のオリジナル種巻き機を使って、苗用のパレットに種を植えるような細かい作業は、私の方が要領が良く作業できている(?)らしく、すっかり私の仕事になっています。それと、最後の袋詰めや、出荷作業も私の仕事です。チンゲン菜一つ一つに顔があるように見えるので、全て顔が表を向くようにしています。キレイに収穫できたチンゲン菜をキレイにお届けしたいのです。これは出荷規則ではないのですが、揃えてないと適当にしているようで嫌なのです(笑)。

私たちが精魂込めて作り上げたチンゲン菜。
害虫被害の無いキレイなチンゲン菜、顔のあるチンゲン菜です。
地元で採れたおいしいチンゲン菜をぜし召しあがって下さい。

チンゲン菜の無農薬栽培をはじめてから、苦労も失敗もたくさん有りましたが、今感じることは、キレイなチンゲン菜が収穫できていることがとても有難いと思えます。無農薬で安全なチンゲン菜を知っていただき、安心して食べていただけるよう、私たちが出荷するチンゲン菜のパッケージには、生産者である私の名前を付けています。



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