• 「穫」生産者のご紹介

新しょうがは、野菜感覚で。

そもそも、新しょうがって?


高知市三里の出荷場で。もとの形はこんなに広がっていて、珊瑚のよう!

さて、今回は少々説明が必要です。皮が茶色がかった辛みの強い根しょうが(囲いしょうが)と種類は同じなのですが、栽培の違いで、見た目も味も別ものに育ちます。寒い頃から暖かいハウスの中で土をしっかりかぶせて育てるため、辛みは優しくすっきり、生食もOK。姿が色白になり、茎との境には紅色のアクセントが出ます。

一方、根しょうがは秋に収穫され、貯蔵して通年出荷するもの。色が濃くなり、辛み成分も増しています。この根しょうがの出始めを新しょうがと呼ぶ地方もあります。今回ご紹介する高知の新しょうがは、正しくは「ハウス新しょうが」という名称。鮮度がおいしさなので、手に入れたら早めにいただくか、甘酢漬けがおすすめです。

デリケートな栽培管理で、いいものを


カエルは有機肥料に繁殖する小さい羽虫を食べています。しょうがの葉っぱとおんなじ色!

梅雨の中休み、高知市の郊外にあるハウスを訪ねました。森田勉さんの新しょうがは、あと1ヶ月で収穫を迎える段階です。今朝も7時に水をかけ、雨が降ってないのでサイドを開けて温度管理に目を光らせます。「温度と水の管理が一番です。土寄せという、畝に土を盛る作業も、収穫までに4~5回は行います。芋は育つと地表へ出たがり、出ると成長も止まります。商品価値のある肌の白さを守り、紅が緑になるのを防ぐための土寄せです。」

植え付け前の土壌消毒以外、ハウス新しょうがは、まず農薬をかけません。ただし、根茎腐敗病という病気があるので、ハウスに入る見学者は靴をビニール袋で覆います。どこにでもいる菌だけに、感染させないよう用心が必要です。

三里のハウスは全国一の早出し


芋の中央部分は主軸なのでやや堅め。小さい芽先のある列が特にやわらかいそう。

ここは南国市の沿岸部、砂地の広がる三里の農業地帯です。昭和40年代から新しょうがに取り組んでいる先がけの産地!新しょうがを収穫している鍋島義人さん、土がやわらかいので、何と手作業です。ハウスと防波堤の向こうはもう、太平洋。鍋島さんたち三里の生産者は、冬場の加温と夜間の電照栽培によって、全国で最も早く、毎年3月1日から出荷を始めます。GW開けから6月にかけてが最盛期で、終わりは8月下旬まで。

お味噌汁に少量すりおろして入れると、香りがいいと聞きました。夏場の食欲増進によさそう。「この、先端が小さい芋のかたまりは特にやわらかいですよ。まだ育つ途中ですから」。生産者ならではのアドバイスをいただきました。

三里の出荷場で、こだわりの撰果作業


集荷場へ次々と軽トラで運ばれてくる新しょうがは、今朝収穫して生産者がそれぞれ自宅の機械で洗ってきたものです。場内には散らし寿司のような新しょうがの芳香が漂っています。水圧を利用して、ていねいに土を落としてあり、色白の肌に紅が映えること。三里の新しょうがは市場でも信頼されているそうです。それを崩すことなく、共同の撰別に力を入れ、いい品を安定して出していくというのが、皆さんの目指すところ。

大きく平たい形の新しょうがを出荷用の箱へ並べて入れるベテランの女性スタッフさんたち。よっぽど大きいのは手でぽきっと割って入れます。私たちがお店で目にするのはリパックされて小さな切れ端になっているから、現物の大きさには、ちょっとびっくりですね。


新しょうがを中華にアレンジ


「夏野菜のような食べ方をしてほしいんです。自分たちでは消費者へのレシピ提案がなかなか考えられないので、華珍園さんに期待しています」と、三里の生産者さんたちからエールを受けました。中華料理では本来、薬味のしょうが、にんにく、ねぎなどを炒めて香りを出しますし、単品でも使っています。豚や鶏を蒸すのに、しょうがを乗せて臭みを取るといった使い方も。けれども新しょうがは新しい食材で、メニュー開発もこれからの課題です。

食欲のない時でもさっぱりして食べやすい、季節にあった食べ方を提案してゆくこと。薬味というより夏野菜のようにたっぷりと。厨房ではシェフたちの創意工夫が始まっています。


新生姜と豚肉の塩味炒め


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