• 「穫」生産者のご紹介

高知で育った烏龍茶。

 

華やぐ香り、黄金色の烏龍茶



黄金色のお茶が喉を潤し、飲み込んだ瞬間、花のような芳香が口中に広がります。思わず浮かぶ笑顔。お茶を飲む贅沢な時間は、そのお茶の質に左右されます。この烏龍茶、ほんの40秒で淹れる一煎目は鮮烈な香りと濃い目の味、二煎目はまろやかに角が取れていました。

烏龍茶というと、黒っぽいお茶、というイメージがあるのではないでしょうか。黒みの強いのは中国系で、佐川町の明郷園さんが生産しているのは台湾茶系の、緑茶に近い黄色みを持った、「ふわっとした花のような香り」が特徴の烏龍茶です。いずれも中国料理に良く合いますし、小さな急須で小さな茶碗に注ぎ何煎も飲む、中国の喫茶スタイルを楽しんでいるという方も多いでしょう。

 


はつもみじとの運命的な出会い


茶園からは、遠く石鎚山をも望む斗賀野盆地のパノラマビューが満喫できます。


そもそも、高知の気候風土で烏龍茶がおいしく作れますか?という素朴な疑問を代表の澤村さんに問いかけました。高知は全国に先駆けて明治時代から紅茶が栽培されていたそうです。JAでお茶に携わっていた澤村さんは、「はつもみじ」というアッサム系の希少品種が佐川町に残っていることを知って、まずは紅茶作りから製茶事業を始めたということでした。ご夫婦で早期退職し、独自のお茶作りの道へ入ったのです。


斗賀野盆地を一望にできる山の斜面にあり、耕作放棄地になっていたのをご自身で開墾した茶園を案内していただきました。畝の感じは緑茶と似ていますが、ずっと細長い葉をしています。園内には他にも希少品種が少しずついろいろ栽培されています。

(はつもみじは成長が早く収量も多いということで、約50年前に佐川町へ導入された品種です)

 


香り高い春の新芽を烏龍茶に


これらの茶樹を地域の産業に育てたいという大きな夢を掲げ、沖縄で紅茶作りを学び、さらに台湾北部で烏龍茶の製法を学んできた澤村さん。
午前中に収穫したら、その日のうちにお茶になります。製茶の工程は、30分から1時間干して、室内で6~8時間水分を飛ばし、夕方に火を入れて揉み、仕上げます。


「春のきれいな新芽は紅茶には作りにくいのですが、香りも高く渋みが少ないので、刈り捨てず、一番茶を烏龍茶にして、二番茶を紅茶にすることで、貴重な資源を有効に役立てています」とのこと。試作を経て販売用を作り始めたのは2016年で、「2018年になって、やっと目指した味ができてきました」。その烏龍茶が、華珍園でも味わえるようになります。

 


おいしい淹れ方で、いっそうおいしく


淹れたときの水色は、年によって、品種によって、微妙に変化します。

烏龍茶を淹れる時、茶葉の量は、お湯150mlにつき3グラムが目安だそうです。この品種だと、浸出時間は熱湯で40秒。発酵をほとんどさせていないという、べにふうきの烏龍茶をテイスティングをさせていただきました。澤村さんが手揉みで仕上げたお茶です。スプーンに付いた香りを嗅ぎ、味を見ます。このお茶ができてくる土地と人の背景も感じながら。淹れてからの時間と共に味も変化していくことが、良くわかりました。


今年の烏龍茶と紅茶をテイスティング。グリーンがかっている葉が烏龍茶です。


実はお茶というのは、3人分を一度に淹れると、味や香りが安定するのだそうです。その持ち味を最大限に引き出すには、お湯の温度や浸出時間を最適にすることが、基本となります。
華珍園でも、このおいしさを発揮できるよう、提供には細心の注意を払っています。


 

妥協なく味を決め、しっかりした製品に


明郷園さんではゴールデンウィークに烏龍茶用の茶葉を収穫して製茶し、夏場に紅茶用の収穫をして製茶、11月は茶の木の刈り込みシーズンです。秋、澤村さんたちは、商品の味を決めていく大事な時間をたびたび持ちます。お茶は嗜好品でもあり、仲間3人で妥協なく、念入りにテイスティングを重ねていくそうです。


「茶摘みの日によって、味や香り、仕上がりは違いますね。今年は特にすっきりした烏龍茶になりました。私たちの烏龍茶は、発酵を浅くして、色を抑えながら、香りが出るように改良してきました」と澤村さん。さちさんも「その土地に合ったものが、長く引き継がれていくのでしょうね」と話してくださり、香気あふれる澄んだお茶に目を細めていました。

【問い合わせ先】

お山の茶 明郷園
〒789-1201高知県高岡郡佐川町甲1682-7
Tel 0889-22-2903
https://www.meikyoen.com/