• 「穫」生産者のご紹介

庶民派の高級野菜、カイラン。

身近な畑に、貴重な中華野菜

高知市の中心街からちょっと郊外へ。高橋康範さんのカイラン畑へやって来ました。収穫中の畑を眺めると、ケールに似ているような。この野菜、一般にはまだほとんど知られていませんが、高級中華に使われることが多く、漢字では芥藍。芥藍菜とも言い、茎と葉っぱ、つぼみも一緒に味わいます。


「今は関西の市場へ主に出荷していて、県内へも少しずつ出しています。高知のお店へ持ち込んだのは華珍園さんが初めて。中華のシェフがひと目でわかるよう、袋には芥藍菜と印刷しています」。と話すのは、JA高知市の横田一歩さん。今年で3年目となり、8軒の生産者がカイランを手がけています。高知県有望品目として、今後も生産が増えそうな、期待される野菜です。


収穫を迎えた高橋康範さんのカイラン畑。

ブロッコリーの味に似て、緑濃く

華珍園ではJA高知市のカイランを昨年から使っています。最初はフカヒレの添えで使いました。今年のシーズンからは、カイランの名前もアピールしながら地域のこだわり食材としてご紹介しています。中華料理での定番は、オイスターソースを使ったお料理です。苦味やクセがなく、素直な印象。ゆでたり炒めたりすると甘みが増し、食べ応えのある食感です。緑の濃さはホウレンソウ以上で、鍋物にも使えるという頼もしさ。


カイラン菜とえびの塩味炒め


カイラン菜と鶏肉のオイスター炒め

茎はブロッコリー、そしてキャベツの芯の甘さ、アスパラガスの食感を足したような、それでいて個性のある味です。イタリアンにも和食にも合いそう。ちなみにこのカイランとブロッコリーを掛け合わせたものが茎ブロッコリー、なるほどです。

ちょっとお得な栽培方法


高橋さんのカイランは9月中旬に植え、10月末ごろから収穫が始まりました。1月いっぱいまで続きます。新しい芽が脇から次々出てきて、数日ですぐ収穫。カイランは一般には中央の主枝(しゅし)と呼ぶ部分を食べますが、高知ではちょっと違います。間を空けて植え、主枝を先に取り除き、脇芽、つまり側枝(そくし)をたくさん育て、こちらに養分を貯めて収穫するという、お得な方法なのです。


こうして生産コストを抑えながら1つの株から3回は収穫できるのが強味で、この栽培方法はブロッコリーのアレンジだそうです。高橋さんは一度虫が来て全部の葉を切り落としたにもかかわらず、すぐに再生。水も肥料もたっぷりもらって、すくすく育っています。

高知の気候に適したカイラン


暑さにも水にも強いカイラン。そして、残暑が厳しく、年間を通じて雨の多い高知県。相性はぴったりです。高橋さんの畑は50年以上田んぼだったので、地下はプールのようになっているそう。最初に栽培を始めた一人、カイラン部長の友村さんをはじめ、この地区では主に稲の後作として育てています。「去年は畝の上まで水に浸かったけど、普通に収穫できた。ありついたら、雨には強いですよ。霜もわりと平気で、−5℃ぐらいまでいけるし、畝に水があれば保温になります。冬は一層味が乗っておいしい。」と友村部長。

皆が気になるのは、買った人がどんな食べ方をするのか。友村部長の食べ方はと聞けば、「ゆでてゴマ和えもいいし、簡単なのはすき焼きへほうり込む。味が茎へ染み込んで、たまりません。」

毎年、新しい野菜にチャレンジ


2007年から親の後を継いで専業農家になった高橋さん。毎年、新しい品目を栽培することを自分に課しています。「露地とハウスで多品種栽培をしています。毎年新しいものを一つは育てて、次の作物に生かしたい。そしてだんだん作る物が決まっていけば。お米を作り、シーズンオフは野菜で稼ぐ。それが軸になるように。」高橋さんもカイランの将来性に期待しています。



JAとカイランの生育状態を調査している芝山文那さんも、「新しい品目なので、皆さん試作しながら、教えあって熱心にがんばっています。」実際に飲食店で使ってもらって評価されたことは、大都市の市場へ出す際にも、生産者の自信につながっているようです。


写真左から:畑を見せてもらった高橋康範さん、カイラン部長の友村康夫さん、高知農業改良普及所の芝山文那さん、JA高知市グリーンファーム高須店の職員でカイランの栽培指導やPRを担当する横田一歩さん。

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