• 「穫」生産者のご紹介

グァバの樹は、仲間の樹。

地域のなかで、仲間たちが輝いて

太平洋に面した、黒潮町田野浦。緑の山に囲まれた静かな環境にある、大方生華園とジョブなしろを訪ねました。ここは、地域の知的障害者が農耕を中心に、地域と共に生きてゆくために働く場です。販売する製品は、切り花の栽培からスタートして、今は鉢物や飲料がメインになっています。


平成20年に障害者自立支援法で作業所と住居が分離され、新たに就労支援事業所として敷地内に「ジョブなしろ」を設立しました。「なしろ」とは、稲の苗を養う苗代のこと。施設では農の原点であるお米も作っており、グループの施設間で自給自足しているそうです。

優しいピンク色、グァバジュース



ビタミンをたくさん含む熱帯のフルーツ、グァバを栽培するハウスを見せていただきました。生産量は年間1〜1.2トンぐらいだそうで、900本もの樹を育てています。昭和57、58年ごろから始めて30年近くになり、幹もしっかり。ただ、今年は冬の低温や台風で不作気味とのこと。1本の木には多くて20〜30個の実がなります。収穫時期は8月中旬〜10月末で、取材時にはほとんど残っていませんでしたが、貴重な実を割って見せてもらうと、完熟した果肉は淡いピンク色。ジューシーで甘く、上品な風味が漂い出しました。

この果肉の優しい色がそのまま、グァバジュースになっています。ジュースを売り出して15年ほど。地域のお役に立ちたいと、業務用の冷凍ピューレも始めました。

中華スイーツとピューレの出会い


冷凍ピューレは今のところ、主に県内の酒造メーカーで、日本酒リキュールに使われています。でも、料理に使う機会も、これからは増えてきそうな予感。華珍園ではスタッフの一人がそのお酒を飲んで知りました。「それに子どものころ、今はない帯屋町の喫茶店でグァバジュースを飲むのが大好きで(笑)。グァバと聞くと、ドキッとしました。だから、ジュースをまた飲んでみたいな、から始まっています。イベントでのデザートにピューレを何度か使わせてもらいました。杏仁豆腐のグァバソース。すると、何人もの方から、おいしかったよと手応えが。これからも使っていきたいですね。」食材との出会いは、こうして、人との出会いを生んでゆきます。

グァバで健康茶づくり


果実だけでなく、葉も利用できるグァバ。ポリフェノールが含まれ、糖分の吸収をおだやかにする働きがあるので、健康茶として製造しています。玄米茶のような色で、飲みやすいお茶です。利用者の皆さんが、職員の剪定した木の枝や葉を運び、葉は洗った後、1枚ずつていねいにハサミで切って天日で乾かし、ガス殺菌して、お茶が完成。去年からはグァバの新茶もできました。B品はティーバッグ用の粉末に仕上げ、自家栽培したレモングラスなどのハーブを入れます。グァバ茶は葉っぱのある限り、年中作れるのもいいところ。


グァバ茶の製品もいろいろ出ています。

冬から春へ、ふっくらシクラメン

南部地区は花き栽培の適地とあって、施設では切り花や鉢物をたくさん育てています。11月3日には毎年、ここを会場にシクラメン祭りを行い、直売や交流をしてきました。シクラメンの専用ハウスでは、クリスマス・年末に向けて出荷を待つ赤、白、ピンクの鉢が、にぎやかに並びます。こちらのシクラメンは最初こそ花が少ないけれど、春あったかくなるまで長い間、次々と咲くように育てているそうです。


山沖さんは花の担当で、「花は休みなしに、咲きたい時に咲きます。土日も休まない時もあるけれど、利用者の中には自主的に出てきてくれる人もいて、やる気と責任感を感じます。」これからの課題は、「まずは自分たちの名前を知ってもらうこと。」農業をベースにした生産活動は、地域の外からも注目されてゆくことでしょう。


ちょうちょが留まったような愛らしさ。


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〒789-1933
高知県幡多郡黒潮町田野浦524
就労支援事業所 ジョブなしろ
TEL0880-43-4666