• 「穫」生産者のご紹介

高知産メンマを浮かべて。

タケノコ山の第2弾、「ポン」


ラーメンに浮かべて味を添えるメンマの原材料といえば、タケノコです。一般には輸入物が主流ですが、華珍園では「白木谷ゆめクラブ」さんから分けていただく乾燥タケノコで、メンマを作っています。タケノコの産地訪問でもご紹介した中司邦夫さん・美空さんご夫妻も会員で、お家に皆さんが集まって乾燥タケノコを加工していました。


春先のタケノコが、5月になるとだんだん細長く伸びてきます。2mぐらいになったのを白木谷では「ポン」と呼んでいるそう。この穂先を煮て食べるとおいしいのですが、乾燥タケノコには柔らかすぎるので、穂先以外のところを使います。タケノコ山のあちこちに育ったポンを、早朝に切り出してきて、作業がスタート。

メイキング・オブ・乾燥タケノコ


中司さん宅では「白木谷ゆめクラブ」会長の野村和弘さんをはじめ、数人が作業をされていました。手順としては、まず5cmほどの輪切りにして半分に割り、3枚重ねて手作業で調整しながらスライサーにかけていきます。カットのサイズは約5ミリ×5cm。次に、薪釜で1時間ほどボイル。煮上がって、いい匂いがしてきたら釜から揚げ、吊り上げて近くの水槽へ移動します。時間を置くと「あぎてきて」質が悪くなるので、ここまでの作業はその日のうちに。現在、1日の加工量は生で100kgぐらいです。


山のきれいな冷たい水に一晩さらし、翌日、12時間かけて乾燥させれば出来上がり。完全に乾燥すると薄く堅いヒモのようになり、タケノコとはわかりません。


乾燥機には12時間入れます。途中でトレーの位置を上下・前後と入れ替えて、まんべんなく乾燥させるのがコツ。


ていねいに戻して味付け


この乾燥タケノコは、もともと中司さんがテスト的に作っており、2012年からクラブ員で作ることになりました。華珍園ではそれまで、中国からの半生・塩漬けタイプを使っていたのですが、ここ白木谷の乾燥タケノコは、歯ごたえがしっかりあって、別物といってよいほどの違い。何より地元産の安心感は大きいのです。


店で一晩水へ浸けて戻し、翌日の午前中、仕込みの間に蒸し器で2時間ぐらい蒸して、酒・醤油・砂糖だけで炊き、あっさり味に仕上げます。ラーメンに浮かべて味わう、細やかで繊細な名脇役の食材です。普通のメンマのような筋張った感じがなく、優しいけれどしっかりした食べ応えがうれしくて、顔がほころびます。

タケノコ山で生まれたクラブ


白木谷ゆめクラブ会長 野村和弘さん


中司美空さん

竹林を荒らさないよう、地元が元気になれるように、高知県と南国市の呼びかけから始まった、白木谷ゆめクラブ。登録会員は皆生産者で、現在15人。白木谷の産物といえば、春はタケノコ、秋は四方竹です。でも10年先を見たら、高齢化と後継者難で農家ができなくなる可能性も。ブランド力のついた産物が消えないよう、守りたいという思いが強いのです。

1年目は、世話ができない竹林をクラブで借りて、世話や手入れをしました。荒れた竹林は中へタケノコを生やさずに、外へ根を伸ばして、どんどん拡大を始めます。10年たつと、民家の床下からもタケノコが出て来るような状態に。それでも手入れをしたら、竹林自身も調整を始め、タケノコが竹林の中に生えてくるとわかりました。


白木谷を発信して、未来へつなぐ


クラブで集まれば、竹林の管理や生産調整ができます。集まって楽しく加工作業するのは、やりがいにもなりますが、採算はこれからの課題です。


子どものころタケノコを掘った楽しさを、人はずうっと覚えているもの。野村会長は「タケノコを掘ることが、何に結びついていくかを考えていきたい」と言います。観光タケノコ園の案もあって、地域やクラブへ入ってくれる人を見つけようとしています。定年後でもいい、農家でなくてもいいから。


地元の人が当たり前と思っている資源が、実はそうではないという、気づき。「タケノコ掘りの体験や農家との交流など、もっと地元を発信して、白木谷の子供たちが、生まれた地域を大事にできる未来をつくっていくことが、私たちの努めです」。

【問い合わせ先】
南国市農林水産課
〒783-8501 南国市大そね甲2301
Tel 088-863-2111



南国市 農林水産課
田村里香さんは産地づくりのため、竹林の活用や過疎対策などに尽力されています。