• 「穫」生産者のご紹介

土佐甘とう、大きな新顔。

万願寺唐辛子から生まれた交配種

土佐甘とうを育てている、市原建雄さんと美代子さんご夫妻のハウスへおじゃましました。シシトウと赤ピーマンに加えて8年ほど前から、育て方が似ている土佐甘とうを始めています。


12~15cmぐらいまで大きく育てて出荷。ジャンボししとうとも 呼ばれます。

ハウスに入ると、半分には赤ピーマン、半分は土佐甘とうが植わっていて驚きの風景。大きくて果肉がやわらかく、食味のよさが特長です。分類は甘長トウガラシ、正式名は京野菜の万願寺唐辛子を先祖に持つ、甘とう美人。交配相手がピーマンなので、葉っぱや花はピーマンそっくり。高知では土佐甘とうという商標で主に関西へ出荷しています。

生産者仲間には県内で最初に導入した浜田庄平さんや、土佐甘とう部会長の高橋桂三さんもいて、いろいろ教えてもらっています。


高橋桂三さん(右)、浜田庄平さん(中央)。 周年栽培できること、付加価値が強味です

種から撒いて、冬は温めて

今年は7月24日に種を撒き、9月4日に定植しました。「自分で管理できるし値段も抑えられるから、種から育てます。」花が咲いて収穫まで冬場は20日ほど、シシトウよりゆっくりなペース。育て方はピーマンとほぼ一緒で、ある程度の背丈になったら、あやつり糸で吊って支えます。枝の整枝と糸の巻き方には人それぞれのこだわりがあるのだそうです。

冬場は温水式の加温設備で温めます。温風式のように乾燥しないので湿度が保てるのはいいですが、間接なので直接温める温風よりコストが高くなって、一長一短とか。でも生産者にとってはシシトウより加温コストが少ないこと、実が大きいぶん収穫が1日置きになってもサイズがオーバーせず、作業が楽なのが魅力です。


温水を通す設備がハウスの中に設置されています。湿度を保って間接的に加温。



中華にもぴったりな使いやすさ


「消費宣伝用の新レシピもぜひ考えて」と市原さんからリクエストもいただきました。土佐甘とうは中華料理にもすんなりなじむ食材です。煮込むとピーマンより上品ながら、シシトウの味がじわっと出てきます。シェフの一人は「他の食材をじゃませず、相性のよい野菜です。火の通りがいいので油とは特に合いますし、鶏や豚肉、海鮮などともいけますよ」。確かにアク味がほとんどないので、ピーマンが苦手な人でもこれならおいしく食べられそう。


ごくたまに辛い実もありますが、種を取れば大丈夫。シシトウの味を前面に出す時は種を取ったり、揚げるなら種を残してガツンと味を出すなど工夫しています。シンプルに素焼きして塩を振るだけでもおいしくいただけます。

生きものと共存する天敵栽培


受粉用に日本ミツバチの巣箱がハウスに置かれています。ハチは ご近所から来ました。

体長1ミリほどのコナジラミという虫は、葉の汁を吸ったりしてウイルスを媒介します。県内のピーマン農家は農薬の代わりに天敵昆虫のスワルスキーカブリダニを導入しています。土佐甘とうでも100%の生産者が取り入れている安心の天敵栽培。他にも土着のテントウムシなどを含め、何種類かの天敵を複合的に活用していて、高知県は天敵栽培の先進県です。そして受粉用のハチはといえば、在来種の日本ミツバチ。ハウスの中を元気に飛んでいます。一般的な西洋ミツバチは巣の周辺で1種類の花を集めて蜜にしますが、日本ミツバチは百花蜜と呼ばれるように、多種多様な植物から集めます。ハチは南国市からほど近い山北地区の養蜂家とのリース契約です。


手でやさしくちぎる理由


収穫の時、土佐甘とうやシシトウは、手でそのままちぎっています。これは、幹から実につながっていく枝のような部分を長く残しておかないと、店頭に並ぶまでの間に、先の部分から徐々に傷んでいくためです。ちょうどそこがちぎりやすい構造になっています。周年栽培の株は1年の間にだんだん幹が太くなり、樹のように力強く成長していきます。

収穫した実のパック詰めは園芸連で行い、生産者は朝取ってコンテナで出荷すればよく、近くの出荷場で予冷しておき、翌朝すぐ園芸連へ運びます。ところで、赤ピーマンは緑のピーマンを完熟させたもの。土佐甘とうも採らずに置いておくとピーマンと同様に赤くなって、それもまたおいしいのだと聞けば、食べてみたくなりますね。


9月に定植した苗が10月下旬にはずいぶん太くなって、収穫の最初のピークを迎えていました。


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