- blog ~水平思考~
5年後、10年後、20年後
高知市布師田のカイラン菜の圃場へお伺いしました。説明をしていただいたのは昨年よりお世話になっている生産者の友村康夫さん。布師田地区で約7反栽培されています。
今年は雨の関係で定植が遅れ、少し心配とのことでしたが今日から収穫して明日から関東へ向けて出荷が始まるそうです。今年は学校給食の方からお声がかかっているとのことで、食育や後継者のこと、TPP、直販所、農薬のことなど色んなお話を聞かせていただきました。
とても印象に残ったお話が学校給食などを通じて
「カイラン菜を食べたお子さんが10年後〜20年後に食卓で食べる…、その中で料理人になった者がカイラン菜をつかって美味しい料理をつくる…、それが食育だと考えている」「そして今現在が将来の後継者の所得の問題や農業全体の問題を少しでも解決する、いやそうでないと未来はつくってゆけない…」「消費者を育ててゆく」という長期的お話。どちらかというといつも短期的な思考になってしまう私にとって正直別角度からの切り口であり、自分の甘さと知識のなさを痛感、何だか恥ずかしくなりました。
そして早速夜に試食しました1年ぶりのカイラン菜。味もしっかりと濃く「野菜を食べています!」という感じ。友村さんもよく言われるのですが、確かに野菜嫌いな子供の多分イヤなえぐみというか青さがないという感じですね。塩だけで炒めたんですが本当に美味しい、来月は上海蟹とカイラン菜をあわせてみようと考えています。
blogのタイトルなんですが、中華料理生活衛生同業組合の前理事長がご逝去という、わたしの祖父、父、もちろん私自身、そして高知県の中華料理業界にとって本当に悲しいことがありました。告別式に出席させていただき祖父が涙まじりにかけた言葉、祖父の親友であり盟友への想いに涙が止まりませんでした。二人が10年、20年いや30年以上かけてつくってきた高知の中華料理界、その苦労は到底今の私にはわかるわけがありません。
そして今日は若手厨房スタッフの外部講師による勉強会を初めて行いました。これは調理技術ではなくひとりの人間としてどう生きていくのかという内容の研修。専門性や技術を高めることも大切ですが、人間性や人間力を高めることも大切です。この両輪が同時に回ってはじめてまっすぐに進んでゆくものと私は思います。そしてそれは5年、10年、20年一生をかけて進んでゆくものと。
本当にたくさんの方がご列席されていた告別式と故人の人生、カイラン菜の圃場での友村さんのお話、そして写真にある彼らの表情すべてが交錯し未来を信じて日々ぶれることなく生きてゆかねばと決意をあらたにした長い一日でした。